出産を控える妊婦さんの中には、かかりつけのクリニックで「臍帯血バンク」という言葉を耳にしたことがある方もいると思います。この記事では、臍帯血バンクの基本から、実際にやっている人・できなかった人の声、費用や取り扱い病院まで、私が知っている情報をお伝えします。
臍帯血バンクとは?
臍帯血バンクとは、赤ちゃんのへその緒(臍帯)に含まれる血液(臍帯血)を採取・保存し、将来の治療などに活用する仕組みのことです。臍帯血には「造血幹細胞」という重要な細胞が含まれており、適合した白血病や血液の難病治療に実際に使用され2種類のバンクがあります。
種類 | 説明 |
---|---|
公的バンク(無料) | 医療機関と連携し主に血液疾患の患者の治療に使う 匿名で無償提供 |
民間バンク(有料) | 自分の子どもや家族のために有料で保存。 将来的な自己利用を想定 |
臍帯血バンクのメリット
1. 将来の病気治療に備えられる民間バンク
臍帯血には再生医療の可能性があり、下記の内容についての自分の子や家族のための保存(保険)であり、再生医療や将来の研究的治療への期待も含まれます。
病名・分野 | 備考 |
---|---|
自閉スペクトラム症(ASD) | 米国などで臨床研究が進行中。保護者同意の下、自己の臍帯血を用いた試験も。 |
脳性麻痺 | 臍帯血を使った再生医療の研究が進行。まだ研究段階。 |
1型糖尿病 | 自己免疫反応を抑える治療としての応用が模索されている。 |
脊髄損傷 | 幹細胞治療の研究対象として有望視されている。 |
脳梗塞後の神経再生 | 一部研究段階で期待されている用途。 |
脳性麻痺や低酸素性虚血性脳症 | 低酸素による脳障害の改善に臍帯血を使う研究がある。 |
2. 他の人を救うことができる公的バンク
臍帯血に含まれる「造血幹細胞」は、主に血液疾患の治療に使われ、臓器提供に似た社会貢献的な意味合いを持ちます。おもに下記の病気の治療として使用されています。
病名 | 説明 |
---|---|
急性リンパ性白血病(ALL) | 小児から成人まで発症。造血幹細胞移植が必要になることが多い。 |
急性骨髄性白血病(AML) | 白血球の異常増殖。化学療法と併用して移植が行われることがある。 |
骨髄異形成症候群(MDS) | 血液を作る能力が低下する疾患。重度では移植が適応。 |
再生不良性貧血 | 骨髄の機能が低下し、血液が作れなくなる。 |
悪性リンパ腫(重症例) | 特定の場合に造血幹細胞移植が選択されることも。 |
ファンコニ貧血 | 先天性の再生不良性貧血の一種で、移植が唯一の根治療法。 |
慢性骨髄性白血病(CML) | 特に移植が必要な進行例に使用される。 |
現時点では、公的バンクは「治療として確立」された使用が多く、民間バンクは「可能性に期待して保管」するケースが多いです。
臍帯血バンクのデメリット
1. 必ずしも活用できるとは限らない
民間バンクに保管していても、将来必ず使う機会があるとは限りません。また、一部の病気には「自己の臍帯血」は使えないこともあります。
2. 費用が高い(民間バンク)
民間の場合は10万円〜20万円程度の初期費用+毎年の保管料がかかります。長期間保存すれば、それなりのコストになります。10年間保存した場合48万円程度の費用がかかります。
3. 採取できないケースがある
分娩の状況によっては臍帯血の量が少なく、採取できないこともあります。また、医師の判断や病院の方針によっても断られることがあるため検討されている方は出産される病院に確認が必要です。
臍帯血保存の費用
項目 | 民間バンク | 公的バンク |
---|---|---|
初期費用 | 約15〜20万円 | 無料(提供) |
年間保管料 | 約1〜2万円 | なし |
保存年数 | 多くは20年間 | 利用されるまで |
主な民間臍帯血バンクには、以下のような企業があります
- ステムセル研究所
- クロセル(旧アイル)
- ファミリーステムセル
※公的バンクは全国の一部病院で対応しており、公益財団法人 日本赤十字社 臍帯血バンクなどが運営しています。
実際にやっている人・できなかった人の声
やった人の声
- 「万が一に備えてやってよかった」
- 「再生医療が進めば使える可能性があると思った」
- 「高額だったが、子どもへの投資と考えた」
できなかった人の声
- 「希望したが、分娩時に採取量が足りなかった」
- 「病院が対応していなかった」
- 「費用面で断念」
出産時の状況や医療機関の体制により、希望しても対応できないケースがあるのは重要なポイントです。
臍帯血バンクを取り扱っている病院
公的バンク対応病院(一部例)
- 東京大学医学部附属病院
- 聖路加国際病院
- 大阪大学医学部附属病院
- 九州大学病院 など
※全国に約120の公的臍帯血提供可能な病院があるようです。詳細は日本赤十字社のサイト等で確認可できます。
民間バンク対応の産院(例)
- 医療法人社団 愛育会 愛育病院
- 亀田総合病院
- 聖母病院
- 一部の個人産院でも対応可
※事前に妊婦健診の段階で「臍帯血保存に対応しているか」確認しておくのがおすすめです。
臍帯血バンクはやるべき?
臍帯血保存は、「将来への備え」や「社会貢献」として考えることができます。ただし、費用面・医療機関の対応・使用の可能性などを踏まえ、夫婦でよく話し合って決めるのが大切だと思います。
私個人的な意見
臍帯血バンクは全国で行っていることは多いですが実際に自分の家族、子どもが使用するかも知れない民間バンクについては費用面がかなりネックになると思います。私自身の選択としては公的バンクか民間バンクどちらかの選択では公的バンクを選びます。理由としては、確率低でありますが現時点で研究段階であり確実に保存していたからと言って使用できるわけではないからです。
まとめ
- 臍帯血には医療的価値があり、公的・民間どちらのバンクでも保存が可能
- 費用・活用の見込み・出産時の状況をよく考えて判断があ必要
- 事前に病院が対応しているか確認することが大切

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